「おぅ。久しぶりやな」
〜介護福祉士の質を上げるブログ〜
介護講師小森敏雄です。
いつもありがとうございます。
10年以上前。
ある認知症を有されていた男性入所者Bさんにかけられた言葉。
Bさんは要介護5。
重度の認知症と診断され、混乱期には家族に暴力を振るい、夜中も大声をあげる等、ご家族も大変な思いをされたとのことでした。
緊急入所となり、随分と落ち着きを取り戻しておられましたが、夕方になると落ち着かず、いわゆる「帰宅願望」がみられました。(あまり使いたくない言葉ですが)
認知症の方は長期記憶は保持されやすく、短期記憶の欠落が起きやすいという認識はありました。
Bさんも例外ではなく。
直近の出来事は忘れてしまうことがほとんどで
見当識障害も顕著でした。
ある日
東京へ研修会の参加のために
1週間出張させていただき
1週間ぶりの出勤が夜勤でした。
21時からの出勤で、詰所で申し送りをすることに。
そこにはまだ起きておられたBさんが。
「おぅ。久しぶりやな。どこ行ったったんや。寂しかったやないか。」
耳を疑った。
嘘や。
確かにユニットリーダーだった私は、入所当初の混乱期から関わる機会も多く、Bさんは時折、会社の社長時代の社員と間違えている節もあった。
他のスタッフよりも信頼関係の構築ができている自信はあった。
でも。
1週間の空白。
覚えてくれていた。
科学的介護とか
根拠を明確にそして言語化とか
介護講師になってから言い続けています。
でも。
それでは言い表せない
解明できない
認知症の方との関わりの中で生まれる
不思議な世界観に
現役の頃は取り憑かれていました。
結果とか過程とか関係ない。
その場のやりとりでしか味わえない感動。
上手くいえませんが。
これも介護のやり甲斐のような気がします。